飲食店の新型コロナウイルス感染症対策

マスクを着用しない状態で飲食中に会話をすることが、新型コロナウイルスの飛沫感染の大きな危険因子であることははっきりしています。最近でこそ「会食」が原因と取り上げられるようになってきましたが、これまではマスコミは飲食業界に忖度してか報じることを避けてきたかの印象があります。

唾液の飛沫が、目の前の人の皿の料理に降りかかります。それを食べてしまうことによる感染に対しては、手指消毒等は意味がありません。大きな声でしゃべれば、エアロゾル、マイクロ飛沫が漂い、近くの席の人も感染の危機に曝します。

『飲食店を利用する際は、黙々と飲み食いをし、会話する際はマスク着用を守る。』

7月からの感染拡大で、ようやくこの重要性を指摘する報道も出てきましたが、多くの人々には理解されていません。自身が無症状の感染者の可能性があるとして、感染を移さない行動をすることが、一緒に食事をする人や、通って応援する飲食店を守ることに繋がります。

一般社団法人日本フードサービス協会の「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針(改正)に基づく外食業の事業継続のためのガイドライン」には

店舗入口及び店内に、食事中以外はマスクの着用をお願いする旨掲示する。

と、明記されていますが、実際に掲示を見かけるのはごく稀です。

順天堂大学大学院医学研究科公衆衛生学のグループは、食事中以外、会話などの際にはマスクを着用することの重要性も指標として取り入れた「飲食店等における新型コロナウイルス対策(仮称)」を策定し、飲食店等における新型コロナウイルスの市中感染拡大の防止策に関する調査研究を開始したとのことです。

飲食店内でマスクを着用せず、マイクロ飛沫を飛ばしながら会話するお客さんに対し、トラブルを避けるために、店舗側もなかなか実際に注意できません。注意を実際にされた某店の Twitter には以下の様に顛末を記されていました。

ついに… 本日お客様へ声をお掛けする事態が
最近はお客様の層に変化があり、 初めてご来店される方も増えました。当店は、感染症対策として 出来る限りの努力をしています。 その辺りの信用を含めて ご来店くださるお客様の為にも、 最大限の配慮をお願いいたします。4月以降の当店の状況を心配して 通ってくださるお客様も いらっしゃいます。 その方たちを不安にしてしまうことが 何より申し訳なく思います。
どうぞ、 ご理解とご協力をお願いいたします。ひとつの空間に一定時間滞在するわけですから、 感染リスクがゼロです。とは 言い切れません。その中で、気を付けるべきことの 認識の共有は不可欠です。その為に SNS でお知らせしたり、店頭に貼っているわけなので…  マスクの飛沫防止レベルはどうなのかという疑問も無くはないですが、度を超えた会話(ボリューム)はさすがに…  気を付けてくださっている方々に 申し訳ないです。

この Twitter を目にして訪れる人ばかりであれば、店内は静かで安心して食事で出来るであろうと訪れてみました。いつも通りの間隔のテーブルの配置で混み合っており、マスク着用せずに大きな声で会話しているグループが一つならずあることにすぐに気が付きました。前回注意された時に何かあったのか、この日はお店の人がお客さんに注意される様子は有りませんでした。感染予防を全く意に介さず、マスクを着用せずに大きな声で会話するお客さんへの対応に苦慮されている様です。

鹿肉のダルバートを急いで掻き込み退店しました。