新型コロナウイルス感染症における PCR 検査について、国会議員の無責任な発言がいつまでも止まりません。BUZZ FEED JAPAN 5月14日付け 『実際の感染者数を誰も答えることができない理由 – 立憲民主の福山議員の質疑を検証してみた』の記事では、「#福山哲郎議員に抗議します」「#尾身先生を応援しよう」で有名になった 5月11日の参議院予算委員会での立憲民主党の福山哲郎議員の発言を検証しています。米国国立衛生研究所(NIH)博士研究員の峰宗太郎氏は、日本を含む8か国の PCR 検査数を、各国の流行状況を反映させるために、患者数、死亡者数で割ったものと、各国の流行状況を反映していない人口100万人あたりの検査数のグラフを示し、
このPCR 検査数のグラフからわかるように、日本は流行状況を加味しなければ確かにPCR 検査数は比較的少ないことがわかります。しかし、流行状況を加味した棒グラフをみていただくと、韓国、ドイツの次にPCR 検査数が多いことがわかります
と分かりやすく説明し、
全数が把握できていないことで責めるのは、的外れで勉強不足で理解ができていないように思います。適切な検査とはなにか、検査の目的とは何か、状況把握は何のために必要なのか、施策を打つのに必要な考え方と把握すべき情報はなにか、冷静に学び、把握してから専門家にその状況や解釈を尋ねるべきではないでしょうか
と、不勉強のまま声高に的外れの質問を行うことに疑問を呈されています。
東洋経済 ONLINE 5月12日付け 『「PCR 検査せよ」と叫ぶ人に知って欲しい問題 – ウイルス専門の西村秀一医師が現場から発信』と題する記事では、実際に PCR 検査を行う立場の、国立病院機構仙台医療センター西村秀一氏からの提言が記されています。
インフルエンザのように効く薬があってすぐに処方してくれるということなら、やる意味はあるでしょう。「陽性」という結果は役に立つことになる。そうではない現状ではやみくもな検査は意味がない。
いつまでもやってくれないという話が出ているが、症状が悪化したらCTを撮ったり呼吸を見たりして肺炎の治療をきちんとやっているわけです。特効薬がない中では命をつなぐ治療が重要だ。
もしコロナだったら家族にうつしたくないから知りたいという要請はわかる。(中略)とりあえずコロナかどうか確認したいから検査をするということは、PCR 検査に関わる資源に限りがある以上、無理な話だ。また、陰性だから安心できるというものではなく、防御はいずれにしても必要だ。
と、多くの医療関係者が共通認識として持つ見解を、明快に述べておられます。
5月19日のテレビ朝日のモーニングショーで玉川徹氏は、新型コロナウイルスに感染していても PCR 検査では 7割程度しか陽性として検出できず、3割程度は偽陰性を生じうる可能性について、
7割位の精度に落ちてるって言うのは、多分にその採った場所にいないとかね、それからあと採り方が今一つ上手くなかったとか、そういう手技の部分か採る場所の部分に依存している部分が大きい
と言い放ち、公共の電波を使い、携わるすべての医療関係者を中傷しました。
細野豪志氏が、すぐに 自身のTwitter で、
玉川徹氏は常にテレビでコメントできる特権的な立場にある。平時は色んな意見があっていいと思うが、有事に専門外の人間が付け焼刃の発言をして現場を混乱させるのは本当に困る。考えてもらった方が良いと思う。東日本大震災後の彼の無責任な発言には本当に苦労した。
とコメントされました。テレビ朝日社員である玉川徹氏、自身の経歴を
浪人後、京大農学部に進学した。バイオテクノロジーに興味があったが、希望かなわず農業土木分野へ進む。
と、日刊スポーツの取材に答えておられます。PCR 検査は、まさにバイオテクノロジーの基本です。
現在、多くの都道府県で、地元医師会の協力を得て、帰国者・接触者外来が開設され PCR 検査を担っています。どれだけ多くの PPE(個人防護具)が必要で、感染対策の基本となるゾーニングだけでもいかに大変か、マスコミはもっと報道すべきです。