厚生労働省コロナ対策本部クラスター班「大阪府・兵庫県における緊急対策の提案(案)」

3月19日の吉村大阪府知事の囲み取材、3月20日 11時から行われた第9回大阪府新型コロナウイルス対策本部会議と、その後のマスコミの報道姿勢に疑問を持ち、「3月20日の吉村大阪府知事からのメッセージ 府民の皆さんへ」について記しました。

その後、的外れな批判は相次ぎましたが、吉村大阪府知事の Twitter でも情報を発信し続けておられます。その中で、某 TV番組でも公表されたという 2020年3月16日付けの、厚生労働省コロナ対策本部クラスター班の専門家作成の資料「大阪府・兵庫県における緊急対策の提案(案)」もアップされています。

その中で必要な対策の方向性(案)として
段階1 警戒段階
大阪府・兵庫県全域で、今後3週間
- 大阪府・兵庫県内外の不要不急な往来の自粛を呼びかける。
段階2 積極的介入段階
― 全域の不要不急の外出自粛の要請(緊急事態宣言も考慮)

と記されています。大阪府ホームページの 知事からのメッセージ、府民の皆さんへ【(9)令和2年3月20日】の文言は、

大阪府、兵庫県の往来並び府県内の外出について、この三連休中、不要不急の場合は、控えていただくようお願いいたします。

ですので、見直してみると段階1と段階2の折衷の様な「お願い、呼びかけ」にきちんとなっており、政治的判断の意味合いを、もっとマスコミは斟酌すべきと考えます。

大阪府ではライブハウスのクラスターを上手く抑え込めたかのように思えましたが、昨今の報道にあるような、海外渡航から帰国した人からの感染や、感染源が分からない感染者、兵庫県でみられる病院、介護施設、保育所などの感染が増え始めると、爆発的患者急増を招きかねません、新型コロナウイルス感染症対策専門家会議「新型コロナウイルス感染症対策の状況分析・提言」(2020 年 3 月 19 日)にもオーバーシュートについての注意喚起が記されています。

どこかで感染に気付かない人たちによるクラスター(患者集団)が断続的に発生し、その大規模化や連鎖が生じ、オーバーシュート(爆発的患者急増)が始まっていたとしても、事前にはその兆候を察知できず、気付いたときには制御できなくなってしまうというのが、この感染症対策の難しさです。

大阪府内の医療現場の状況を踏まえると、段階2の積極的介入として緊急事態宣言を行い、不要不急の外出自粛の要請を行わねばならない日は遠くないかもしれません。緊急事態宣言を出さずに、最大のお願いを、祝日を含む週末の3日間に絞って府民に対して行ったと理解するのがよさそうです。イタリアやスペイン等に次いで、アメリカもカリフォルニア州では外出禁止令が出されました。

発熱や咳、倦怠感が続く場合、新型コロナ受診相談センターにまず電話連絡し、指定された医療機関等へ受診、必要であれば PCR 検査を受け、陽性であれば措置入院、ベッドが無ければ自宅待機となります。大阪府がフォローアップセンターを設置し入退院調整に乗り出したのは、現状では軽症であっても法的に退院させることが出来ず、新たに陽性になった人を入院させるためのベッドが足りない状況が生じ始めているためです。

前述の「大阪府・兵庫県における緊急対策の提案(案)」においても、

大阪府、兵庫県の全域において、感染源不明(リンクなし)症例が感染世代(5日程度)毎に増加。1人が生み出す2次感染者数の平均値が兵庫県で1を超えている。見えないクラスター連鎖が増加しつつあり、感染の急激な増加が既に始まっていると考えられる。

と警告が記され、3月20日から27日までの7日間に患者 586人、3月28日から4月3日 患者 3374人との試算まで示され、感染者報告数がこれから急速に増加し、来週には重症者への医療提供が難しくなる可能性ありと現状分析を結んでいます。

試算の数までいかずとも、試算の5分の1(1週間に100人)でも実際に陽性患者が増えれば、大阪府、兵庫県の新型コロナウイルスに対する医療体制は崩壊してしまいます。

松井大阪市長の Twitter での発信は、

2週間後に大阪は大げさだったと笑われたい。 

危機管理には必要な事です。

 

 

3月20日の吉村大阪府知事からのメッセージ 府民の皆さんへ

3月19日夜の吉村知事は囲み取材で「大阪そして兵庫間の往来につきましては、この3連休については、不要不急の往来を控えて頂きたいと思います。」と府民へのメッセージを発信しました。3月20日 11時から行われた第9回大阪府新型コロナウイルス対策本部会議の会議資料 6-2「緊急のお知らせ3月19日に府ホームページで周知」と題して以下の様に記されていました。

大阪府、兵庫県の往来並びに府県内の外出について

厚生労働省の専門家から、大阪府・兵庫県における感染の急激な増加の可能性について報告を受けました。そのため、大阪府、兵庫県の往来並びに府県内の外出について、この三連休中、不要不急の場合は、控えていただくようお願いします。

しかし実際に府ホームページのトップページに掲示された「緊急のお知らせ」の欄には、

厚生労働省の専門家から、大阪府・兵庫県における感染の急激な増加の可能性について報告を受けました。そのため、この三連休中、大阪府・兵庫県の往来をはじめ不要不急の外出は、控えていただくようお願いします。

と何故か「府県内の外出について」という文言が削除されています。大阪府が発表するのに「県」という文字が入っていたので、兵庫県に遠慮して論点がずれた文章にしてしまったのでしょうか。「緊急のお知らせ」の文章にも「府内の外出について」と残すべきでした。

本来は大阪府内の不要不急の外出も避けるようにというメッセージであるにも拘わらず単に大阪府と兵庫県間の往来自粛要請であると捉えマスコミが、その点だけを強調してやれおかしい、現実的ではない、効果があるのか等報道しました。行き先が大阪府内であっても不要不急の外出も避けるようにという内容をきちんと報道したマスコミはあったのでしょうか。

北海道で週末の外出を控えるようにと北海道知事がメッセージを発したように、厚生労働省の専門家が、大阪府に対して提言し、大阪府も行動を起こしました。欲を言えば、吉村知事はもっとはっきりと「週末の不要不急の外出を控える」ことをまず第一に言うと、理解しやすかったのでしょう。本当は言っていたのに報道されていなかったのであればさらなる問題ですが。

ホームページの知事からのメッセージ、府民の皆さんへ【(9)令和2年3月20日】では、

大阪府、兵庫県の往来並び府県内の外出について、この三連休中、不要不急の場合は、控えていただくようお願いいたします。 

と、「府県内の外出について」がしっかりと記されています。

20日は 1日中家にいましたが、大阪府のホームページをチェックしていませんでした。夜、食事から戻って初めて、上記の記載を知りました。

3月22日追記

3月21日吉村知事は、厚生労働省コロナ対策本部クラスター班が作成し「大阪府・兵庫県における緊急対策の提案(案)」として大阪府に示された文書を公開されました。その内容について「厚生労働省コロナ対策本部クラスター班 大阪府・兵庫県における緊急対策の提案(案)」の記事を追加しました。

 

COVID-19 流行予測と医療崩壊を防ぐには

Sunihannel News Asia) の3月13日付けの「Up to 150 million Americans could get coronavirus: US projection」の記事では、以下の様に記されています。

WASHINGTON: Between 70 and 150 million people in the United States could eventually be infected with the novel coronavirus, according to a projection shared with Congress, a lawmaker said on Thursday (Mar 12).

Congresswoman Rashida Tlaib made the remarks during a hearing of the House of Representatives with members of the president’s coronavirus task force, confirming earlier reports by US media outlets including Axios and NBC News.

(中略)

The upper end of the projection is about 46 per cent of the US population of 327 million people. By comparison German Chancellor Angela Merkel warned this week that up to 70 per cent of her country’s population could get the virus.

アメリカ合衆国では7千万人から1億5千万人(人口の約46%)が新型コロナウイルスに感染するとの予測がたてられています。先にドイツのメルケル首相が、ドイツでは人口の70%の感染が起こりうると警告したばかりです。

About 80 per cent of coronavirus cases are mild, and the overall mortality rate is around 1 per cent, according to the latest estimate provided by Fauci to Congress on Wednesday.

At the low end of the projection this would mean about 700,000 deaths. At the high end it would mean 1.5 million deaths.

80%は軽症で、致死率を1%と見込むと、アメリカ合衆国では70万人から150万人の死者を予測しています。

社会活動を行う限り、人口の一定割合への感染は避けることはできません。ウイルスと人間のこれまでの戦いの歴史からも明らかです。

コロナウイルスは冬のかぜ症候群の起因ウイルスの代表の一つです。それが変異した COVID-19、罹患しても軽症であれば、治療薬は有りません。周囲の他人に移さないようにひたすらに安静、それが大事です。

限られた医療資源、重篤な患者さんを助けるための入院枠が、軽症者で埋め尽くされることは避けなければなりません。このことが、ようやくマスコミでも報道されるようになってきました。某国の様な医療体制の崩壊を防ぎつつ、重症者の治療を十分に行うにはどうすべきか、厚生労働省と日本医師会の協議も行われています。残念ながら、それらを理解しようすることもなく、PCR 検査の件数を増やすことを執拗に訴える国会議員もまだおられます。

12日の大阪府新型コロナウイルス対策本部専門家会議終了後の、吉村大阪府知事、松井大阪市長の会見でも、「社会活動を元に戻す」ために「効果的な対策にシフトチェンジ」することが重要であると述べられています。医療資源の最適化を目指すために COVID-19 陽性にて入院した患者さんの、自宅待機も含めた退院ルールの見直し、フォローアップセンターの設置などにも言及されています。

光の道筋が少し見えてきました。