2014年2月15日の夜、テレビをつけると、NHKで男子アイスホッケーのグループ予選、アメリカ対ロシアの生中継を開始するところでした。俄かNHLかぶれの私と息子は、画面を食い入るように見つめてしまいました。両チームともNHL選抜の様相を呈し、国の威信も加わったオールスター戦でした。
第1ピリオドはロシアやや優勢も互いに点が入らず、0対0のまま終了です。
第2ピリオド、9分15秒にロシアがDatsyukの先制点で1対0とリード。16分34秒にアメリカがパワープレーを生かし、Fowlerの得点で1対1に追いつきます。
第3ピリオド、9分27秒にまたまたパワープレーの機会に、アメリカがPavelskiの得点で2対1とリードするものの、12分44秒にロシアが逆にパワープレーでDatsyukが再度得点し、2対2に追いつきました。シーソーゲームの好試合が続きますが、残り4分40秒となったところで、ロシアのTyutinのショットがゴールネットを揺らします。ロシアの再逆転と皆が思ったところで、審判団が協議しビデオ判定の結果、ゴールが規定の位置からずれていたとのことで幻のゴールとなりました。IHFのルールの中に、No goal shall be allowed “if the net has been displaced from its normal position, or the frame of the goal net is not completely flat on the ice.”との決まりがあるのだそうです。そのまま以降は無得点のまま、計60分が終了しました。
次いで5分間のオーバータイム、延長戦に入りました。オーバータイムはフィールドの選手が1人減らされますが、ロシアの選手の反則が第3ピリオド終盤にあったため、最初の1分半くらいは4人対3人となりアメリカが有利でした。しかし得点を入れることが出来ず、そのままオーバータイムも終了しました。
決着はシュートアウト、サッカーで例えるとPK戦に持ち込まれました。ゴーリーとの1対1の勝負を、まず3回行います。
アメリカOshie 〇、ロシアMalkin ×
アメリカRiemsdyk ×、ロシアDatsyuk ×
アメリカPavelski ×、ロシアKovalchuk 〇
3人ずつ終わって1対1で決着がつきませんでした。
サドンデスでさらにシュートアウトが延長されます。ここからは、同じ選手が繰り返し登場しても良いルールです。
アメリカOshie ×、ロシアKovalchuk ×
アメリカOshie 〇、ロシアDatsyuk 〇
アメリカOshie 〇、ロシアKovalchuk 〇
アメリカOshie ×、ロシアDatsyuk ×
アメリカOshie 〇、ロシアKovalchuk ×
なんと、アメリカはOshieにすべて託す作戦にでて、その期待にOshieが応えました。まだ予選とはいえ、白熱した試合で、ゲーム自体を十分堪能することができました。
第3ピリオドのロシアのゴール取り消しの判定について、ロシアのファンは怒り、The New York Timesに、In Moscow, Russians Protest Disallowed Hockey Goal と題する2014年2月17日付けの記事がありました。
Dozens of Russian fans gathered Monday at the Moscow State Agroengineering University, some brandishing hockey sticks, to protest a disallowed goal scored by the Russian team in Saturday’s Olympic hockey match against the United States in Sochi, a decision that they felt cost them the game against their Cold War rivals.
A crowd of mainly students erected a large banner in front of the building reading, “Turn the referee into soap!”, a common Russian chant at sporting events, implying the referee is fit only to have his bones and body fat boiled down for soap.
当事者の審判がアメリカ人だったことも、怒りを買う理由の一つです。オリンピックとは言え、アメリカのNHLの協力が無くてはならない男子アイスホッケーですので、仕方ない面もあります。試合結果の詳細も、ソチオリンピックのweb siteを見るより、NHLのweb siteを見る方が良くわかりました。