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関西ダルバートMAP 2026年

関西ダルバートMAP

美味しいダルバートに巡り合えるのを楽しみに、新しいネパール料理店の訪問を続け My Map「ダルバート Dal bhat by フクロウの気の向くままに」を作りました。2023年1月に田嶋章博さん「東京ダルバートMAP」さんに合わせるように「関西ダルバートMAP」に名前を変更し、お店の位置を示すネパール国旗も共通にしました。2025年12月に、ダルバートを頂いたインド・ネパール料理店が 400を超えました。

ダルバートとは

以前、在日ネパール国大使館の web site では、ダルバートについて以下の様に説明、紹介されていました。

ネパールにおける典型的な食事、それが、ダルバートです。お皿いっぱいに盛り上げた飯米(バート)にレンズ豆で作るスープ(ダル)をつけ、そこにスパイスで様々に調理された野菜(タルカリ)か肉と、漬け物(アチャール)を添えたセットが、ダルバートと総称されるネパールの典型食です。

Boss Nepal の「Eating, Nepali style」の記事では、

Every country has its own distinct cuisine.  In the case of Nepal, there are several regional variations, but one dish has come to characterize the country’s cuisine: dal-bhat-tarkari.  Dal is a lentil sauce that is eaten with the bhat (rice).  Tarkari is a generic name for vegetable curry and can be prepared in different ways according to seasonal availability of vegetables and local preferences.  It is often served with achar (pickles) to enhance the taste.  Meat curry is also popular, especially on special occasions and festivals.

勝手に訳してみると、

どの国にも、その国の独特の、他の国とは異なる料理があります。ネパールの場合、いくつかの宗教による多様性はありますが、ある一皿がこの国の料理を特徴づけるようになりました。それがダルバートタルカリ dal-bhat-tarkari です。ダル dal はレンズ豆のソースで、バート(ご飯)bhat と一緒に食べます。タルカリ tarkari は野菜カリーの一般的な呼び名であり、季節によって採れる野菜によって、またその地方の好みによって、さまざまな方法で調理されます。しばしばアチャール(漬物)achar が添えられ、味に深みを増します。肉カリーもまた、特別な機会やお祭りの際にはよく供されます。

ネパール料理とインド料理

しかし残念ながら、日本にあるインド・ネパール料理店では、メニューにダルバートを見つけることさえ出来ないこともありました。ネパール料理といっても、普通の日本人にとってはインド料理と区別がつかず、ナンとカレー、タンドール料理のイメージで、オーダーもそれらが中心です。そもそも、北インドの一般家庭にはナンを焼くタンドール窯は無く、日常食べるのは Tawa タワ(鉄板、フライパン)で焼くロティ、チャパティやパロタです。南インドでは米食が中心です。

日本では、ネパール人が経営するインド・ネパール料理店(インネパ店)で、ナンとバターチキンカレー、タンドリーチキンといった組み合わせのメニューが定着していきました。商売としても、チャパティ等よりも甘いナンの方が子供さんや女性には受けが良いので、そのナンを巨大化させて他店と差別化といった流れに自然となりました。

ダルバートをメニューに載せておられる店も増えましたが、他のナンとのセットに合わせたグレービータイプのカレーや、ダルも同じく豆「カレー」の一皿によく遭遇します。そんなお店の方にある時尋ねてみると「日本人はネパール仕様のカレーを食べない。だからこの(グレイビーベースの)カレー。」とのことでした。ダルと一緒にバートを食べ、それに味わいを添えるのがタルカリやアチャールであり、その組み合わせを楽しみ、豆の味を味わいながらご飯を食べるという日常食としてのダルバートでは、その魅力を日本人に理解してもらうのは難しいのかもしれません。

室橋裕和さんの著書『カレー移民の謎 日本を制覇する「インネパ」』には

「インネパ」のメニューは「この国でいかに成功するか」に特化したものなのだ。そこに「きちんとしたインド料理を出す」「故郷ネパールの伝統料理を日本人に提供したい」という気持ちは、はっきり言ってしまうとあまりない。なぜなら、それは彼らの目指すビジネスモデルではないからだ。南アジアの料理文化に詳しい、いわばニッチな日本人よりも。今日のランチはラーメンかカレーか迷った末に「インネパ」にやってくる会社員のようなフツウの日本人のほうがはるかに多いし、こちらをターゲットにしたほうが間口が広い。商売としては堅い。

と記されています。

在留ネパール人増加とダルバート

周囲にネパール人が比較的多く住んでおり(2025年7月末に外国人登録をしているネパール人は東京都 58693人、千葉県 23221人、神奈川県 17951人、埼玉県 18449人、愛知県 21314人、福岡県 20896人)かつ増加中の(約7年前と比べると2.1倍~3.4倍)東京の新大久保周辺、名古屋、福岡などで、ダルバートを供するお店が増えました。彼らネパール人が来店してくれるのがやはりダルバートを提供するビジネスとして成り立つ条件の様です。ワンコインダルバートと称して、同胞の若者を支える価格設定がされた時期もありました。

大阪をはじめとする、兵庫、京都、奈良など関西圏でも、在留ネパール人が急増しており(2025年7月末に外国人登録をしている大阪府のネパール人は 24727人で約7年前の8.1倍)、彼らをターゲットとしてダルバートを提供するお店も、大阪市生野区、大阪市西成区、神戸市などで増えました。ネパール食材店を兼ねたお店が増えつつあるのも一つの傾向です。

留学生が増えたことによるネパール料理店の転換を、小林真樹さん『日本のインド・ネパール料理店』でまとめておられます。

元留学生によるネパール料理店起業のモチベーションの一つとなったのが、既存のインド・ネパール料理店に対する不満だった。(中略)自分たちにとって身近で落ち着ける料理と空間を求めた。その結果「インド式のご馳走」ではない、ネパールの日常的な料理が着目されていくのである。

2025年10月の「経営・管理ビザ」の厳格化により、ネパール料理店の新規出店は減るであろうとネパールの方々は口を揃えて言われますが、今後どうなるでしょうか。

ダルバート、ネパリカナ、タカリカナ

もうお気づきと思いますが、最近オープンのお店では「ダルバート Dal bhat」という呼称がほとんど使われていません。多くの店が「ネパールカナ、ネパリカナ(Nepali Khana)」、「ネパールタリ、ネパリタリ(Nepali Thali)」、「タカリカナ Thakali Khana、タカリタリ(Thakali Thali)」を使うようになりました。タカリカナ、タカリタリに定義はありません。しかし、ダル、マス、トマトのアチャール位しか並んでいないのにタカリカナの名前を付けているお店もあります。逆にあるネワールの店主が「たくさん副菜を並べるとタカリカナになってしまう。本来のネワールのカナはシンプル。」と言われたのが目から鱗でした。

マス Masu(肉カリー)も本来は、ドライあるいはセミドライタイプで、ダルやタルカリ、アチャールの味を邪魔することなく引き立てるのが理想です(著者の嗜好です)。「カレー」のカテゴリーでダルバートをとらえる人にとっては、マス(肉カリー)がその様なドライあるいはセミドライタイプで供されたり、ダルが辛くなかったりすると、満足してもらえません。汁気の多い Jhol タイプの「辛い」「カレー」が入っていないと認めてもらえず、リピートしてもらえない可能性があります。某店で、折角のセミドライタイプのマスが、ナン&カレー仕様のカレーに替わったことがあり、店主に伺うとそういうことでした。調理に手間がかかっても、信念を曲げられずに、ドライあるいはセミドライタイプのマスを供されるお店もあります。カトマンズの有名店のダルバートのマスも最近は諸事情で汁気の多いタイプばかりになってしまったことを、昔をご存じの方々は嘆いておられます。

ネパールの主たる宗教はヒンドゥ教です。良く知られている様に牛肉を食べることは出来ません。あまり知られていませんが、豚肉も多くのカースト、民族では忌み嫌われ、特に年配の方は口にされないようです。よって、マスはチキンかマトン(山羊)に限られ、種類が少なくなってしまいます。お祭りの際は、山羊肉が一番のごちそうです。地方に行けば豚肉を食する習慣のある民族もあります。関西の場合、ポークがダルバートに登場するのは、日本人店主のお店が多かったのですが、最近ではネパール人経営のお店でも提供されています。

ダルに使われる豆、そしてその組み合わせ、味付け、豆を潰したタイプか、粒感を残したタイプかはお店によって様々です。ダルバートでよく使われる豆の種類は「マメな豆の話 世界の豆食文化をたずねて 吉田よし子著」の記事で書評として記し、まとめています。

マス Mas <Black Gram> ケツルアズキ
ムスロ Musuro <Lentil> レンズマメ
ムング Moong <Green Gram> リョクトウ
ラハル Rahar <Pigeon pea> キマメ
チャナ Chana <Chickpea> ヒヨコマメ
ボリ Bodi <Black eyed peas> ササゲ
シミ Simi <Green beans> インゲン

私個人の好みは、マスのみのマスコダルです。以前はほとんど提供が無かったのですが、最近はマスコダルを頂ける機会が増えました。市販のミックスダルを用いているお店が多く、マス、ムスロ、ムング、チャナのミックスが多い理由の一つです。チャナが入る、入らないのも好みが分かれるところで、私個人は入らない派です。ムスロのみやムスロとムングの組み合わせもよくあります。

タルカリやアチャールも、日本とネパールでは採れる野菜が異なりますので、日本でとれる季節の野菜を上手く調理されているお店もいくつかあります。「ズーズーダゥ jujudhau」さんはタルカリ、アチャールに使われる素材や調理方法が幅広く、お祭りやハレの日に家族が集まる際にアマ(母親)が精魂込めて作るダルバートというコンセプトで始まったのが、週末のスペシャルダルバートです。青菜炒めに使われるのは、ほうれん草、小松菜が殆どですが、菜の花、チャムスルベテコサグラヨコサグ南瓜の蔓葉(ファルシコムンタ)などが登場すると、それだけで満足です。

ダルバートの「バート」、ごはんに使われる米についての一考察は
→「ダルバートのバートはマスマティ米という意味ではありません」
を、お読みください。

『ダルバート(大阪、兵庫、京都、奈良)ネパール料理』では、ダルバートの他、カジャ、サマエバジなどネパール料理に関する記事を、
『ネパール旅行 2017年』『ネパール旅行 2018年』『ネパール料理 2024年』では、ネパール旅行記をご覧に頂けます。
興味あるネパールの食文化や伝統行事には、関連記事を引用する様にしています。

『大阪で食べるダルバート』を 2017年1月に記し、2018年1月に追記改訂しました。2020年3月に書き直し、2021年2月には My Map を追加しました。2023年1月に関西ダルバートMAPに名前を変更しました。今回 2026年1月、内容も古くなったこともあり、さらに『関西ダルバートMAP』として書き直しています。昔の記事はこちらから。

著者のダルバートに対する好みも含みますが、記事に関連し、開示すべき利益相反関係にあるお店はありません。

下の写真はカトマンズで頂いた中で印象に残っている、『地球の歩き方』にも最近掲載された「Sundar Bhojanalaya スンダル ボジャナラヤ」さんで頂いたシンプルなダルバートです。追加したチキンは、ドライ~セミドライタイプです。