池田市の「ネパールのごちそう jujudhau ズーズーダゥ」さんで供される、週末のスペシャルダルバートのマス、ダル、タルカリ、アチャールには、一品毎に、カドカさんとジットさんの細かい配慮と工夫が隠されています。
マスは、ククラ・コ・マス Kukhura ko Maas です。ハリヨ・ラスン Hariyo Lasun(大蒜の葉)をよく用いられていますが、この日は鶏肉が骨付きということで骨無しの時との味の違いを楽しめます。
ダルは、使う豆の組み合わせが毎回変わります。マス Mas、ラハル Rahar、ムスロ Musuro、チャナ Chana、ガハット Gahat と5種類揃い踏みで、チョウリ Chauri のギー Gheu も加わり、豆の甘みが楽しめるダルに仕上がっています。
タルカリは、新じゃが、小松菜、大根です。じゃが芋は皮つきを用いられ、ダルが甘い分、少し辛めの味付けです。小松菜はネパールにも有るのでしょうか、近いものは、Rayo ko Saagでしょうか。
アチャールの一つ目は、大根と山桃のアチャール Mula ra Kafal ko Achaar です。発酵を進めた大根のアチャールは、その深い味わいに魅了されますが、この日は、山桃の酸味を活かすために、酸味を控えた発酵の浅い大根を組み合わせておられます。
二つ目のパイナップル Bhuin Katahar ブイ・カタハールのアチャールは、以前にも登場のネパールの茶胡麻 Khairo Til カイロ・ティルが味を引き締めています。他の胡麻には無い茶胡麻の粘り気が、フルーツのみずみずしさと絡み合っています。
三つ目のトマト Golbheda のアチャール、毎回味が変わりますが、今回は目を細かく下拵えすることによって、トマトの甘みが十分引き出されています。
バート(ご飯)の上には、オクラ Ramtoriyaと玉葱 Pyaaj のスパイス炒めが載っています。
パパドゥと青菜炒め(小松菜)が定位置に控え、前日の宴で余った、猪 Bandel のブトゥワBhutuwa もダルバートと一緒に頂きました。
デザートは、蕎麦 Phaparとシコクビエ(四石稗)Kodo を使ったプワ Puwa でした。ネパールでは6月29日がAsar Pandra、田植えをお祝いしダヒチウラ Dahi Chiuraを頂く日で、National Rice Dayでもあります。このプワは田植え時期の田圃をイメージして盛り付けられています。茶色が土、緑が苗、白色のカシューナッツは虫をイメージとのことです。ギー Gheu やレーズン Kismis も使われている様で、知らずに食べたら、蕎麦と四石稗から作られていると分かりません。
シコクビエ Kodo (finger millet) のプワは検索してもなかなか見つからず、米粉のプワについてBoss Nepalの「Rice Puwa」の記事に書かれていました。
One of the popular snacks in western Nepal, especially in Dang, Rice Puwa is many people’s favorite as it is tasty, healthy and also satisfies hunger. Made with rice grains, Rice Puwa can also be eaten as an alternative to rice as it is similar to rice in terms of gratifying hunger.
In most of the other cultures and places, Puwa is usually made with Suji or Semolina. It is also heavy due to the rice it contains so it is used more as a snack, afternoon snack or as an alternative for dinner, together with a fried vegetable or curry or pickles. The process of making Puwa is easy and comparatively fast and also not much ingredients are required for making Puwas.
唯一、「Beyond the Biophysical: Knowledge, Culture, and Power in Agriculture and Natural Resource Management. German Laura, Ramisch Joshua J., Verma Ritu (Eds.)」の中の、Chapter 4 「Beyond Biodiversity: Culture in Agricultural Biodiversity Conservation in the Himalayan Foothills. Laxmi P. Pant and Joshua J. Ramisch」で、民族の違いによる農作物、穀物の使い方の差異が記述されています。finger millet の在来種の5種類 (Samdhi kodo、Jhyape、Lapre、Kalo dalle 、Seto dalle) のうち、Samdhi kodo (Juwai kodo) のみが、対象の2民族でロティroti やプワ puwa に使われており、1つの民族では Jhyape が、他方の民族では Lapre がディロ dhindo に使われるとのことです。後者の民族は、Lapre の他に Kalo dalle と Seto dalle をロキシー Raksi 作りに使い、5種全部を jand (beer) (チャン Chang) 作りにも使うと記されています。
最後にチヤも頂きました。
お店で頂ける料理の数々は
→「jujudhau ズーズーダゥ(池田市)ネパールのごちそう」
中央の2色のチウラを取り囲むように、10時の位置のダヒから時計回りに、
猪のブトン(肝、肺、胃)、
トウモロコシのアチャール、
じゃが芋のアチャール、

ロキシーを使った山桃のカクテル、
山桃のラッシーなども登場し、
まさしくお祭りの宴の体を成しており、主役がダヒチウラであったことを忘れてしまいそうでした。
またチャトニーとして登場です。
同じ山桃を Achaar に仕上げるだけでなく、火の通し加減や香辛料を変えてもう一品も仕上げ、食べ比べをさせて下さるという、カドカさんとジットさんの芸の細かさに脱帽です。アチャールとチャトニという言葉をどう使い分けておられるのかも尋ねました。どうやら、よりよく火を通して保存のきく品に仕上げたのがチャトニの様です。もう一つのアチャールは、荏胡麻のピセ・コ・シラム・コ・アチャールです。荏胡麻もお馴染みになってきましたが、前回登場時とは別の味わいです。
マスはククラ・コ・マス、ダルはマス・ラ・ラハル・コ・ダルです。タルカリは、ひよこ豆とじゃが芋のチャナ・ラ・アル・コ・タルカリで、いつも乍ら優しい豆と芋の味を楽しめます。
バートの上には、木耳(きくらげ) Thalthaley chyauと獅子唐の、タルタレ・チャウ・ラ・ハリヨ・クルサニ・コ・サデコが載っています。

丁度、ゴルベラ・コ・アチャールとアル・コ・アチャールが出来たてで、小さなカトリに入れて味見用に添えて頂きました。デザートのズーズーダゥも、山桃バージョンです。
ピカ・チヤを最後に頂きました。

マスやダルも毎回異なった味付けで登場するので楽しみなのですが、それ以上に期待を膨らませるのがタルカリとアチャールです。今週の金時豆のアチャール、ラジマ・コ・アチャールは、そのタルカリとアチャールの違いを実感させて頂ける1品でした。
タルカリに使われるときは、豆や野菜の甘みがうまく引き出される優しい味付けがされており、金時豆が最近タルカリで登場した場合もそうでした。今回の様にアチャールに仕上げられる時は、口にした時に、豆の甘みが前面に出ないような香辛料の使い方をされています。同じ素材でも、タルカリとアチャールではその美味しさの引き出し方をきちんと変えておられます。
大根のアチャール、ムラ・コ・アチャールは、これまで登場したものより発酵を進ませたもので、アチャール好きの者にとっては堪らない1品に仕上がっています。
マスはククラ・コ・マスですが、大蒜の葉ハリヨ・ラスンを一緒に使っておられ、こちらも味とともに食感も楽しめます。
この日のダルはチャナ・コ・ダルで、タルカリは芋茎とじゃが芋、カルカラ・ラ・アル・コ・タルカリですが、これにも大蒜の葉が入っています。
ご飯の上には大豆ボール、マショウラを使った一品が載り、
サグ・ブテコ、青菜炒めには空心菜が使われていました。
デザートは蜜柑、
チヤも頂きました。
ディロの配合は、8割方はシコクビエ(コド)とのことで、素朴な香りのディロに仕上がっています。
チキンのスパイス炒め、ブテコ・ククラ・コ・マスが横に添えられ、
大きいカトリには、初登場のチュカウニ Chukauni が盛られています。
この日、お店にはカドカさんではなく奥様が居られましたので、話を伺いましたところ、本来、Nibuwa(Hill Lemon 檸檬)を何時間も煮詰めてChuk チュクを作り、それを使うのが本来のChukauniのレシピだそうで、Chukは残念ながら日本では手に入らないので代わりのものを使ったとの事です。Chukauniは、
小さなカトリにはネパール山椒 Timur のアチャール、ティンムル・コ・アチャールと、
トマトとコリアンダーのアチャール、ゴルベラ・ラ・ダニヤ・コ・アチャールが盛られています。
さらにカリフラワー、人参、大根などのミックスアチャール、ミサエ Misaye・コ・アチャールも侮れない味わいで、
青菜炒めサグ・ブテコも添えられています。別の器には、鰤のカレーが大きな切り身で盛られています。
川魚の場合と同じように、マリネして油で揚げてから調理するのかお尋ねしたところ、その様です。内陸国ネパールで、鰤を表すネパール語が有るのか存じません。取り敢えず魚のカレーと表現するとして、マチャ・コ・ジョルはもう少しスープが多い場合を指すようで、マチャ・コ・マス、マチャ・コ・タルカリ、どの表現がぴったりなのかを、奥様とジットさん、他のお客様と一緒に楽しい談義となりました。とある常連様が持ち込まれた与那国島の泡盛で、
ジョインカッテを作っていただき、一緒に頂きました。
最後はチヤです。

しかし、今回もそれ以上に印象的だったのは、カリフラワー Kauri と人参 Gajar、えんどう豆 Kerau のアチャール、カウリ・ラ・ガージャル・ラ・ケラウ・コ・アチャールでした。先週頂いたカリフラワーと人参のアチャールはタンドールで炙ったカリフラワーの香りとシャキシャキした食感が楽しめました。同時に作って発酵させたと仰る今週のものは、味付けも少し変えておられ、えんどう豆も加わり、程よい発酵も相まって、異なるアチャールに仕上がっています。
アチャールのもう1品は、ミント Pudina のアチャール、プディナ・コ・アチャールでした。
タルカリは、南瓜 Farsi と金時豆 Rajma、ファルシー・ラ・ラジマ・コ・タルカリで、今回も優しい野菜の味を活かす味付けです。大蒜 Lasun の葉、ハリヨ・ラスンも使われています。
バート(ご飯)の上に載る、鶏の胸肉もハリヨ・ラスンと一緒にチョイラに仕上げられています。
ダルはミックスダル、チャナ・ラ・マス・コ・ダルです。マスは骨付きチキンの、ククラ・コ・マスですが、同じチキンでも毎回味付けが変わります。サグとパパドゥも定位置に添えられています。
デザートはズーズーダゥで、仕込みの日の違いで、醗酵の浅いものと、やや進んだものの2種類がこの日は有るとのことでしたので、後者をお願いしました。最近はこのズーズーダゥの予約も入るようになってきたとのことです。
チヤも頂きました。
他の2品のアチャールも秀逸でした。カリフラワー Kauri と人参 Gajarのアチャール、カウリ・ラ・ガージャル・コ・アチャールは、タンドールで炙ったカリフラワーの香りとシャキシャキした食感、人参との組み合わせ、味付けどれもが絶妙で、この日の一押しです。
えんどう豆 Kerau のアチャール、ケラウ・コ・アチャールは、2種類の Sano Kerau と、Thulo Kerau の計3種類の豆を、豆らしい食感が残る茹で加減で作られています。
バート(ご飯)の上には、椎茸 Mirge Chau と赤玉葱 Rato Pyaaj のスパイス炒め、チャウ・ラ・ラト・ピャーズ・コ・サデコが載っています。
タルカリは茄子 Bhanta と新じゃが Alu の、バンタ・ラ・アル・コ・タルカリで、茄子の優しい味が楽しめます。
マスとダルは、ククラ・コ・マスと、
ラハル・コ・ダルでした。
パパドゥとサグが定位置に控えます。

チヤも頂きました。
お店で頂ける料理の数々は
細かい配慮、工夫が、マス、ダル、アチャール、タルカリ、それぞれに為されています。しかも、どのタルカリやアチャールも、他のネパール料理店では頂ける機会がまず無い品々です。
ダルも毎週の様に変わり、今週はマスとムスロの2種類の豆を使った、マス・ラ・ムスロ・コ・ダルです。
タルカリは、新じゃがと黒大豆と発酵乾燥野菜のタルカリ、アル・ラ・バトマス・ラ・ラヨ・コ・グンドゥルック・コ・タルカリです。新じゃがは一度タンドールで炙る手間をかけておられます。発酵乾燥野菜グンドゥルックは、何種類か使い分けておられる野菜から 、Raayo(からし菜)を使われています。







じゃが芋との組み合わせでタルカリ(ガンデ・コ・サグ・ラ・アル・コ・タルカリ)に仕上げられています。
どくだみは日本ではどくだみ茶や天麩羅が思い浮かびますが、そのまま調理するとやはり結構食べにくいそうで、茹でる際にティンムル(ネパール山椒)を加え、臭い消しにコリアンダーを少し混ぜるなど、細かい工夫がなされた一品です。小さなカトリに入ったアチャール3種は、左から初登場アマランサスLatte ko Saagの種子のアチャール(ラッテ・コ・ビュウ・コ・アチャール)、トマトと大豆ボールのアチャール(ゴルベラ・ラ・マショウラ・コ・アチャール)、乾燥発酵野菜(菜の花)のアチャール(トリ・コ・グンドゥルック・コ・アチャール)が並びます。
大きなカトリには、左からじゃが芋とカリフラワーのタルカリ(アル・ラ・カウリ・コ・タルカリ)、ガハット・ダル、
チキンカレー(ククラ・コ・マス)が盛られています。
デザートはバクタプル名物のヨーグルト、ズーズーダゥです。最近は知る人ぞ知る存在となり、これを目的に来店される方も増えてきて嬉しい悲鳴をあげておられる店主カドカさんです。
最後にゆっくりとカロ・チヤも頂きました。
マスはチキン(ククラ・コ・マス)、右奥のダルはひよこ豆(チャナ・コ・ダル)、左奥のタルカリはじゃが芋とささげ、干し大根(アル・ラ・ボリ・ラ・ムラ・コ・シンキ・コ・タルカリ)で、優しい味わいです。手前のアチャールは左に大根(ムラ・コ・アチャール)と、右に生姜と大蒜(アドゥワ・ラ・ラスン・コ・アチャール)が並びます。
もう一つのアチャールがミックスフルーツのアチャールで、金柑、蜜柑、キウイの絶妙な組み合わせで(ムンタラ・ラ・スンタラ・ラ・キウイ・コ・アチャール)、得も言われぬ味を醸し出しています。インド料理などで金柑のアチャールを見かけることはありますが、ミックスフルーツのアチャールはパティシエでもある店主カドカさんならではの発想で、他では頂くことの出来ない一品です。
ご飯(バート)の上には、蓮根の炒め物(カマル・コ・ザラ・ブテコ)が載り、
パパドゥと青菜炒め(サグ・ブテコ)が何時もの様に添えられています。これまた本領を発揮された、デザートの苺のチーズケーキを、
ピカチヤで頂きました。
ネパールの母の日Mata Tirtha Aunsiについて検索してみると、