店主カドカさんがネパールに帰国された際、シコクビエ(四石稗 Kodo)を持ち帰っておられたのですが、「そろそろ使い切りたいので料理に使います」とのことでお声がかかりました。「ネパールのごちそう jujudhau ズーズーダゥ」さんに出かけました。ロティで登場するのかと思いきや、蕎麦 Phaparと一緒にディロ(ディド Dhido)、コド・ラ・パーパル・コ・ディロで登場しました。手でも頂けるように、フィンガーボウルも添えて頂いています。
ディロの配合は、8割方はシコクビエ(コド)とのことで、素朴な香りのディロに仕上がっています。
チキンのスパイス炒め、ブテコ・ククラ・コ・マスが横に添えられ、
大きいカトリには、初登場のチュカウニ Chukauni が盛られています。
この日、お店にはカドカさんではなく奥様が居られましたので、話を伺いましたところ、本来、Nibuwa(Hill Lemon 檸檬)を何時間も煮詰めてChuk チュクを作り、それを使うのが本来のChukauniのレシピだそうで、Chukは残念ながら日本では手に入らないので代わりのものを使ったとの事です。Chukauniは、We All NepalではSpicy Nepali Potato Curd Salad Pickle、Aalu ra dahi ko achaarとしてヨーグルトを使ったレシピが紹介され、Boss NepalでもChukauni from Palpa districtとしてこれまた同じようなレシピが紹介されていますが、材料にChukは登場しません。レモンの絞り汁などで代用されています。
webを渉猟してもなかなかChukの説明を見つけることが出来ません。Paichoという食品会社が自社の製品の紹介で、Chukを説明しています。
Nibuwa is widely found in hilly areas and aid in digestion. Chuk is a must in traditional chatani and achar prepared in homes. Also considered as a nutritious food, it basically is helpful for neck treatment and curing hangovers. Chuk is prepared by cooking Nibuwa juice. It also works to wear off swelling, curing fractured bones and remove toxins. It helps you to feel hungry, reduce pains of urinary problems, stone and tooth ache.
ESC NEPALの「The Delightful Flavors of Authentic Gurung Cuisine」の記事でChukの説明を見つけることが出来ました。
chuk (which is highly concentrated lime juice that is obtained by cooking the juice at a very high temperature until it turns black).
青唐辛子 Hariyo Khursaani が1本丸ごとで横たわり、
小さなカトリにはネパール山椒 Timur のアチャール、ティンムル・コ・アチャールと、
トマトとコリアンダーのアチャール、ゴルベラ・ラ・ダニヤ・コ・アチャールが盛られています。
さらにカリフラワー、人参、大根などのミックスアチャール、ミサエ Misaye・コ・アチャールも侮れない味わいで、
青菜炒めサグ・ブテコも添えられています。別の器には、鰤のカレーが大きな切り身で盛られています。
川魚の場合と同じように、マリネして油で揚げてから調理するのかお尋ねしたところ、その様です。内陸国ネパールで、鰤を表すネパール語が有るのか存じません。取り敢えず魚のカレーと表現するとして、マチャ・コ・ジョルはもう少しスープが多い場合を指すようで、マチャ・コ・マス、マチャ・コ・タルカリ、どの表現がぴったりなのかを、奥様とジットさん、他のお客様と一緒に楽しい談義となりました。とある常連様が持ち込まれた与那国島の泡盛で、
ジョインカッテを作っていただき、一緒に頂きました。
最後はチヤです。

お店で頂ける料理の数々は
→「jujudhau ズーズーダゥ(池田市)ネパールのごちそう」
今回はまずマトンタスセットをお願いしました。マトンタス Mutton Taas と、ムライ Murai (ブジャ Bhuja)、大根のアチャール Mula ko Achaar の組み合わせです。
キネマ(発酵豆)とグンドゥルック(発酵乾燥野菜)のカレー、Kinema ra Gundruk ko Jolも単品でお願いし、一緒に頂きます。
300円(税別)のシタン(単品)からは、マトントリッパの和え物です。トリッパ Bhundiとタン Jibhro とキノコ Cyau のサデコ Sadeko です。
まだまだお腹に入りそうですので、マトンチョイラセットも追加です。マトンチョイラ Mutton Choila、チウラChiura、大根のアチャールのセットです。
前回訪問時、お店のTwitterに登場したドクダミGande (Gandhe) のアチャールを是非頂きたい旨お話ししていたのを、キランさんは覚えて下さっており、用意がありますとの事でしたので供して頂きました。念願のGande ko Achaar は、ドクダミを茹でることにより、嫌みのない香りが活かされた、予想以上の美味しさでした。ダルバートの一品として、「薬草」のチャトニと書かれている時に、巡り合うことが出来るようです。(翌日のTwitterでは、「ドクダミ」のチャトニと記されていました。)
最後にハルワ Haluwa と
チヤを頂きました。
しかし、今回もそれ以上に印象的だったのは、カリフラワー Kauri と人参 Gajar、えんどう豆 Kerau のアチャール、カウリ・ラ・ガージャル・ラ・ケラウ・コ・アチャールでした。先週頂いたカリフラワーと人参のアチャールはタンドールで炙ったカリフラワーの香りとシャキシャキした食感が楽しめました。同時に作って発酵させたと仰る今週のものは、味付けも少し変えておられ、えんどう豆も加わり、程よい発酵も相まって、異なるアチャールに仕上がっています。
アチャールのもう1品は、ミント Pudina のアチャール、プディナ・コ・アチャールでした。
タルカリは、南瓜 Farsi と金時豆 Rajma、ファルシー・ラ・ラジマ・コ・タルカリで、今回も優しい野菜の味を活かす味付けです。大蒜 Lasun の葉、ハリヨ・ラスンも使われています。
バート(ご飯)の上に載る、鶏の胸肉もハリヨ・ラスンと一緒にチョイラに仕上げられています。
ダルはミックスダル、チャナ・ラ・マス・コ・ダルです。マスは骨付きチキンの、ククラ・コ・マスですが、同じチキンでも毎回味付けが変わります。サグとパパドゥも定位置に添えられています。
デザートはズーズーダゥで、仕込みの日の違いで、醗酵の浅いものと、やや進んだものの2種類がこの日は有るとのことでしたので、後者をお願いしました。最近はこのズーズーダゥの予約も入るようになってきたとのことです。
チヤも頂きました。

ライタのピンク色はビーツを使っておられるためです。
またサラダにかかるピンク色のドレッシングにもビーツ、赤玉葱、檸檬、アボガドが使われているとの事です。健康に良いビーツを、皆さんに摂って頂きたいという店主の心配りです。
デザートにレモンタルトも供され、
セットにはラッシーも付いてきます。
追加でチヤも頂きました。
アルタマボリはカジャ Khaja と一緒に頂くイメージを持っていましたが、バート(ご飯)と一緒に頂くこともよくあるそうです。今回は香辛料を効かせたバージョンで、しっかりとバートに合っていました。
マスは、骨付きのマトンが賄い用にあるとの事で供して下さいました。
他は大根のムラ・コ・アチャール、小魚のマチャ・コ・アチャール、青菜炒めのサグ・ブテコと何時も通りの品々です。途中で、ディップさんが、ダニヤ・コ・アチャールも持って来て下さいました。
最後にチヤも頂きました。
お店の名前にSekuwaが入っていますので、そのSekuwaを頂くことにしました。
マトンセクワセット Mutton Sekuwa Setは、セクワとプジャ、アチャールとチャナ豆の構成です。
アルコールも各種取り揃えておられる様でしたので、
Raksi を頂きたかったのですが、言葉が通じず、仕方なくネパールアイスビールを一緒に頂きました。お客さんは見事にネパール人ばかりでした。
2種類のタルカリは、ブロッコリーとじゃが芋、
ゴーヤでした。
マトンは残念ながらドライタイプではありませんでした。
キランさんにお伺いすると、予定通りドライタイプに変えたところ、お客様の不評を買い、数日で元に戻したとの事です。ダルの美味しさを活かすには、ドライタイプのマスの方が良いと考える日本人は、私も含めきっと少数派なのかもしれません。ネパールで普段食べるような料理を是非食べて頂きたいと、一旦は中止しかけた平日のダルバートの提供を続けておられる、キランさんや、スタッフのミンさん、ラムさんの心中を察すると、胸が痛みます。
この日は他に、以前にお店のTwitterにアップされていたドクダミのアチャール Gandhe ko Achaar の話や、キランさんが不在だったカナメラの日にメニューには登場したものの頂けなかったダカニ Dhakani の話などを伺いました。ダカニの件の経緯は、バスマティライスで作ったところ、パサパサな食感の出来上がりとなったために、スタッフで協議し急遽提供を止めたのだそうです。日本米で作ると粘り気が出すぎ、丁度この時期に収穫されるネパール米が良いのだそうです。デザートとして食べるよりも、カジャの一品として食べることが多いとの事です。
今回のダカニには、レーズン、カシューナッツ、アーモンドを用い、ギーの香りが活きる様に香辛料は控えておられるとの事でした。チヤと一緒に頂きました。
他の2品のアチャールも秀逸でした。カリフラワー Kauri と人参 Gajarのアチャール、カウリ・ラ・ガージャル・コ・アチャールは、タンドールで炙ったカリフラワーの香りとシャキシャキした食感、人参との組み合わせ、味付けどれもが絶妙で、この日の一押しです。
えんどう豆 Kerau のアチャール、ケラウ・コ・アチャールは、2種類の Sano Kerau と、Thulo Kerau の計3種類の豆を、豆らしい食感が残る茹で加減で作られています。
バート(ご飯)の上には、椎茸 Mirge Chau と赤玉葱 Rato Pyaaj のスパイス炒め、チャウ・ラ・ラト・ピャーズ・コ・サデコが載っています。
タルカリは茄子 Bhanta と新じゃが Alu の、バンタ・ラ・アル・コ・タルカリで、茄子の優しい味が楽しめます。
マスとダルは、ククラ・コ・マスと、
ラハル・コ・ダルでした。
パパドゥとサグが定位置に控えます。

チヤも頂きました。
お店で頂ける料理の数々は





丁度ネパールから送られて来たと仰るティンムル Timur(ネパール山椒)の塵などを取り除いておられたので、数粒ほど齧らせて頂きました。しっかりとファードにも使っておられました。
デザートに何かいただけますかとお聞きすると、グットパック Gudpak なら有りますとの事で、これまた是非にとお願いしました。
セクワSekuwaとブザBhuja、グンドゥルックGundrukのセットが用意されており、まずお願いし、
アルタマAlu Taama を単品で頂きました。
ゴーヤとトマトのアチャールや、
アルチャットパテも頂きました。
デザートにダカニもお願いしましたが、上手く作れなかったので無く、キールなら有りますとの事でした。
チヤも頂いて帰りました。